グッバイ、親友。また会う日までっ!!【野いちご10周年企画】
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廊下を早足で進み、階段を駆け上がる。
その途中の踊り場で、親友の村雨 啓介(ムラサメ ケイスケ)と合流した。
「ごめん、お待たせっ」
「いや、僕も今 来たところだから大丈夫だよ」
柔らかな笑みを浮かべる黒髪メガネの啓介は、一眼レフのフィルムカメラと三脚を手に持っている。
これから向かうのは、屋上だ。
「啓介は本当に写真を撮るのが好きだね。
しかもこれ、やり直しが出来ないフィルムカメラじゃん?
俺は絶対無理だなー……失敗したらどうしようって考えちゃうもん」
「失敗するかもしれない。っていうのがいいんだよ。
常に緊張感を持って、新鮮な気持ちで撮れるからね」
微笑みながら言う啓介に、俺も微笑み返す。
そのあと俺たちは、屋上へと向かって更に階段を上り始めた。