グッバイ、親友。また会う日までっ!!【野いちご10周年企画】
海外で仕事している親のところで、仕事を手伝いながら勉強もしていく予定。
卒業式のあとすぐに日本を離れるのは、ずいぶん前から決まっていたことだ。
委員長や他の女の子たちも、俺が今日このまま海外へ行くのを知っている。
だからみんな、写真を撮る時間を減らしてくれたんだ。
……本当は、向こうへ行ったら 次にいつ会えるかはわからない。
委員長は「同窓会で」って言ったけど、そのタイミングで帰国出来るかどうかは微妙なところだ。
多分…みんなもそれに気づいている。
気づいていながらも、それでもみんな笑顔で送り出してくれたんだ。
……その思いを無下にすることなんて出来ない。
だから俺も、あの場では微笑んだけれど……でも、啓介に会ったら一気にツラくなってきた。
「……卒業したあとも、みんなと一緒に過ごしたかったな……」
ポツリと放った、俺の本音。
それを聞いた啓介は小さく頷いたけれど、言葉は何も返ってはこなかった。
ここで何かを言っても、状況は変わらない。
それを知ってるから何も言わないんだ。 啓介も、俺も。
……そのあと、俺たちは何も言わないまま歩き続け、あっという間に屋上前の踊り場へと到着した。