グッバイ、親友。また会う日までっ!!【野いちご10周年企画】
「僕が自分の気持ちに素直になれたのは、良太郎のおかげだよ」
……俺の、おかげ……?
「なんで……俺、散々引っ掻き回して迷惑かけたのに……」
「終わり良ければ全て良し、で いいんじゃないかな。
現に俺と奈央は、今でも良い関係を築けているからね」
「……」
「ほら、そんなシケた顔しない。
無駄に爽やかでムカつく顔が台無しだよ?」
無駄に爽やかでムカつく顔……って、すげー貶(けな)された気がする。
でも、うん……そういう言い回しは啓介らしいっちゃ啓介らしいかな。
多分これ、「気にしてないからそっちも気にするな」って意味だと思う。
まったく……どこが 素直になれた。 だ。
ほんっと、素直じゃない奴なんだから。
「……ありがとね、啓介」
「こちらこそ、ありがとう」
「うん」
短く言葉を交わしたあと、俺はまたキラキラと輝く海へと視線を向けた。
三脚にカメラをセットした啓介も、カメラ越しに海を見ているみたい。
俺たちはお互いに何も言わなかったけれど、それでも心の中はとても穏やかだった。