グッバイ、親友。また会う日までっ!!【野いちご10周年企画】
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その少しあと。
俺のもう一人の親友、渉がやって来た。
その隣には啓介の彼女の奈央ちゃんも居る。
そして、俺の妹の小百合(サユリ)も。
さゆは俺たちとは別の学校だから、今まで俺の通う学校に来たことはなかった。
でも今日は卒業式。
卒業生の家族なら校舎に入ることが出来る。
さゆはずっと前から言ってたんだ、「屋上からの景色を見てみたい」って。
……よかった。
今日、やっと生で見せることが出来た。
「さゆちゃん、嬉しそうだね」
「だね。 なんか俺まで嬉しくなってきたよ」
「うん」
ドアの付近で、嬉しそうに景色を見るさゆ。
近くに居る渉も奈央ちゃんも、とても晴れやかな顔だ。
「……みんなで一緒に過ごせるのは、今日が最後かもしれないね」
ポツリ、言葉を放つ。
やっぱり寂しいな……今まではいつだって会えたのに、これから先は違う。
全員が揃うのは、本当に本当に今日が最後かもしれない。
「ヤバい……俺ちょっと泣きそうかも」
「というか、ここに来る前から「既に泣きました」って顔だったけどね」
「う る さ い」
ていうか、啓介だって「ここに来る前に泣きました」って顔してるじゃん。
メガネをかけてるから わかりにくいけど、目元が赤い。
……まぁ、それを指摘しても「なんのこと?」って澄ますのがわかってるから、あえて言ったりはしないけどね。