エリート上司の過保護な独占愛
 慌てた様子の沙衣を見て、裕貴は肩を揺らして笑っている。

(もう……最近の課長ってば、イジワルなんだから) 

 でも、こんなやりとりもできるほど、ふたりの距離が近づいたと思えば、それもまたうれしいことだった。

「あれ、沙衣ちゃん。こんなところで立ってどうしたの?」

 名を呼ばれ振り向くと、そこには大迫と藤本が立っていた。

「藤本さん、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

「本城さん、よろしくお願いします」

「はい」

 藤本を席に誘導して、まずは四人で今後の方針について打ち合わせをする。その後ミカドの技術担当者とテキスタイルデザイナーとを交え、今後の話を進めていく予定だ。

 さっそく藤本さんの話から、ユニヴェールの問題点を洗い出す。そこから今回の共同開発でのメリットデメリットの説明をする。

 大迫の指示のもと沙衣の作った資料で話を進めていく。大迫もこのプロジェクトに張り切っているようで、資料以外にもかなり色々と調べているようだった。

 裕貴はそれを見守り、本当に必要なところだけアドバイスを挟む。大迫と沙衣に任せて見守る立場だ。
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