エリート上司の過保護な独占愛
「っと、このあたりですべて話をしたと思うんですが。他に藤本さんのほうから何かありますか?」

「いえ。なんかわくわくしますね。正直うちにこんなに時間を割いてもらって申し訳ないです」

 藤本が肩をすくめる。

「いえ、今までずっと御社の抱える問題点にきちんと向き合えてなかったのは、私たちですから」

 大迫は自らの営業スタイルを少々反省しているようだった。そこに裕貴が口をはさむ。

「この共同開発について、最初に提案をしてきたのは、本城なんです」

「えっ?」

 藤本の視線が向けられて、沙衣は照れ笑いを見せた。

「彼女、ずっと数字が落ちていることを気にしていて……もちろん、我が社の売上がどうこうということじゃないですよ。アシスタントですから、ただ純粋に御社の状態を心配していたんです。彼女の〝気づき〟が今回のこのような機会を作ったんです」 

「そうなんですか……知らなかった。ありがとう、本城さん」

 お礼を言われるなどと思っていなかったので、恐縮して手を顔の前で左右に振る。「いえ、そんなお礼だなんて」

「そうですよ。まだ終わってないんですから。もちろんきちんと成功させて、そのときにはお礼をお願いします」

 大迫の言葉に笑いが漏れた頃、会議室のドアがノックされた。どうやら技術開発の担当者とデザイナーが来ようだ。
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