エリート上司の過保護な独占愛
「びっくりしました? 実はこの共同開発の話が出たときからずっとお願いしてきたんですよ。やっと口説き落とすことができました。実は大迫さん以外には口止めしてたんですよ」

「もちろんですっ! 早く社にもどって社長に報告したいくらいです」

 胸をはる大迫に、藤本も感激の声を上げた。そんなふたりにみどりはにっこりと笑顔を見せて、笑いかける。

「そんなふうに言ってもらえて、私も光栄です。一緒にいいものを作っていきましょう」

 みどりの言葉で、打ち合わせが再開された。そして打ち合わせの中心は彼女になっていく。

 クールな目元にすっと通った鼻筋。きゅっと上がった口角。彼女は完璧な美しさを持っていた。それに加え、話を始めると周りをどんどん惹き付け、バイタリティを感じさせる。

(本当にすごい人なんだなぁ……)

「今回の企画の趣旨に賛同して、お世話になったミカドに恩返しできるときが来て、私も本当にうれしいんです」

 仕事もできる上に、謙虚だ。沙衣は彼女の登場でこの企画自体がすでに成功したように思えたほどだ。

 関心しつつ、打ち合わせの内容を聞き洩らさないように必死になってついていく沙衣は、裕貴の様子が先ほどとは明らかに違うことに、この時は気が付いてなかった。

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