エリート上司の過保護な独占愛
「それだけ、どうしても今日中に謝りたかったから。よかった、ここで会えて」
「気を遣っていただいてすみません」
たとえ社交辞令やお世辞だとしても、紗衣にとってはかけがえのない言葉だ。
「別に気を遣ったわけじゃない。事実を伝えたまでだ。ほら、何階に行くんだ? せっかくだから送って行ってやるよ」
「三階お願いします」
紗衣の返事を聞いて、裕貴はすぐにパネルの【3】という数字を押した。するとすぐにエレベーターは動きだした。
そしてあっと言う間に三階に到着してしまう。裕貴が【開】ボタンを押して紗衣を降りるように促した。
「ほら、着いたぞ。あ、そうだ」
紗衣がエレベーターを降りた瞬間、裕貴が何か思い出したようだ。振り返って話を聞く。
「その格好、とってもかわいいと思う。だけど靴だけは前の方がいいんじゃないのか? あぶなっかしくて心配になる」
確かにさっきから、何度もよろけている。
「はい。そうします。あの、ありがとうございました」
紗衣がお礼を言うと、裕貴は軽く手を挙げた。すぐに扉が閉まりエレベーターは五階へ戻った。
階数表示のランプが変わるまでそれを見つめると、踵を返して総務部に向かった。さっきまで足が痛くて仕方なかったのに、今は羽が生えたように足取りが軽い。
小さなことで、こんなに幸せになれるなんて……紗衣は恋のパワーを今日初めて思い知ったのだった。
そして気がつく。今まで似合わないと思って敬遠してきたオシャレだったけれど、こうやって努力することが自信へつながるということを。
「気を遣っていただいてすみません」
たとえ社交辞令やお世辞だとしても、紗衣にとってはかけがえのない言葉だ。
「別に気を遣ったわけじゃない。事実を伝えたまでだ。ほら、何階に行くんだ? せっかくだから送って行ってやるよ」
「三階お願いします」
紗衣の返事を聞いて、裕貴はすぐにパネルの【3】という数字を押した。するとすぐにエレベーターは動きだした。
そしてあっと言う間に三階に到着してしまう。裕貴が【開】ボタンを押して紗衣を降りるように促した。
「ほら、着いたぞ。あ、そうだ」
紗衣がエレベーターを降りた瞬間、裕貴が何か思い出したようだ。振り返って話を聞く。
「その格好、とってもかわいいと思う。だけど靴だけは前の方がいいんじゃないのか? あぶなっかしくて心配になる」
確かにさっきから、何度もよろけている。
「はい。そうします。あの、ありがとうございました」
紗衣がお礼を言うと、裕貴は軽く手を挙げた。すぐに扉が閉まりエレベーターは五階へ戻った。
階数表示のランプが変わるまでそれを見つめると、踵を返して総務部に向かった。さっきまで足が痛くて仕方なかったのに、今は羽が生えたように足取りが軽い。
小さなことで、こんなに幸せになれるなんて……紗衣は恋のパワーを今日初めて思い知ったのだった。
そして気がつく。今まで似合わないと思って敬遠してきたオシャレだったけれど、こうやって努力することが自信へつながるということを。