エリート上司の過保護な独占愛
「そんなことないわよ。あなたのおかげでいつも気持ちよく取引できているもの。まぁ……最近は以前に比べると取引が減ってきてるけど。前にもちょっと話をしたことが有ると思うけど、うちの業績が悪いのよ。主力のデザイナーが他社に移っちゃってね。そこからガタガタ」
軽い調子で言っているけれど、表情は暗い。沙衣が思っているよりも状況は悪いのかもしれない。
「ま、おかげで残業も少なくなって、こうやって趣味にさく時間が取れてるんだけどね」
藤本が肩をすくめると、カウンターから講師の「集まってください」という声がかかり話が終わった。
講師のもとに戻ると、肩をコキコキと鳴らしている絵美の前には、少し厚めにいちょう切りされた大根があった。
「どう? すごい?」
肩を寄せて聞いてきた絵美に、「はい」と答えるとうれしそうに笑っていた。それから皆で説明を聞きながら同時に仕上げていく。同年代の女性ばかりで和気あいあいと料理をし、試食するときには仲良くなっていた。
それから片づけを終えて、家路につく。時刻は二十一時半。金曜日の夜のせいなのか、笑顔で連れ立っている人が多い。
沙衣と絵美それに藤本の三人は駅に向かい、一緒に歩く。
「あーおいしかった。私天才かも……あ、慎吾だ。もしもし」
自画自賛をしながら一歩前を歩く絵美のスマートフォンに着信があった。相手はどうやら慎吾のようだ。少し話をした後、電話を切ると沙衣と藤本の方へ振り向いた。
「ごめん、私はここで。今から慎吾の部屋に行ってくるわ。アイツ風邪ひいて体調が悪いみたい」
「そうなんですか。お大事にとお伝えください」
絵美は沙衣の言葉にうなずいて、藤本を見て「失礼します」と声をかけて急ぎ足ですぐそこに停まっているタクシーに飛び乗ると、そのまま行ってしまった。
軽い調子で言っているけれど、表情は暗い。沙衣が思っているよりも状況は悪いのかもしれない。
「ま、おかげで残業も少なくなって、こうやって趣味にさく時間が取れてるんだけどね」
藤本が肩をすくめると、カウンターから講師の「集まってください」という声がかかり話が終わった。
講師のもとに戻ると、肩をコキコキと鳴らしている絵美の前には、少し厚めにいちょう切りされた大根があった。
「どう? すごい?」
肩を寄せて聞いてきた絵美に、「はい」と答えるとうれしそうに笑っていた。それから皆で説明を聞きながら同時に仕上げていく。同年代の女性ばかりで和気あいあいと料理をし、試食するときには仲良くなっていた。
それから片づけを終えて、家路につく。時刻は二十一時半。金曜日の夜のせいなのか、笑顔で連れ立っている人が多い。
沙衣と絵美それに藤本の三人は駅に向かい、一緒に歩く。
「あーおいしかった。私天才かも……あ、慎吾だ。もしもし」
自画自賛をしながら一歩前を歩く絵美のスマートフォンに着信があった。相手はどうやら慎吾のようだ。少し話をした後、電話を切ると沙衣と藤本の方へ振り向いた。
「ごめん、私はここで。今から慎吾の部屋に行ってくるわ。アイツ風邪ひいて体調が悪いみたい」
「そうなんですか。お大事にとお伝えください」
絵美は沙衣の言葉にうなずいて、藤本を見て「失礼します」と声をかけて急ぎ足ですぐそこに停まっているタクシーに飛び乗ると、そのまま行ってしまった。