エリート上司の過保護な独占愛
(――じっと見てたの、バレてないといいけど)

 紗衣の心配をよそに、裕貴の視線は足元にあった。

「今日は結構歩きで移動するけど、大丈夫か?」

「はい。ちゃんと歩きやすい靴を履いてきましたから」

「よくできました」

 まるで子供に言うような言い方だ。そんなちょっとしたからかいの言葉も、いつもの仕事のときの裕貴とは違う。

(そういえば、高いヒールを履いていたときも、心配かけたっけ……)

 いつもよりも近い距離にいる裕貴と、話をしながら最初の目的地を目指した。
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