エリート上司の過保護な独占愛
「紗衣はかわいいわよ。何回も私が言ってるじゃない。もう、気をつけないと今回は天瀬課長が気がついて助けてくれたからよかったけど」

「え？　アレって助けてくれたんですか？」

　驚いた紗衣は、絵美に尋ねた。

「もう、それも気がついてなかったの？　紗衣が困った顔してたの気がついてくれたんだよ。月曜ちゃんとお礼を言うんだよ」

「はい」

　（課長が助けてくれたなんて）

　心がふわっふわと舞い上がっていく。偶然かもしれないけれど、気にかけてもらっていたことがうれしい。

　気持ちが高揚した紗衣は、喉の乾きを覚えた。

「あの、なんだか喉がかわいちゃって、あっちで飲み物ももらってきます」

「それならこれ、飲みなよ」

　慎吾がグラスを差し出した。

「ありがとうございます」

　舞い上がっていた紗衣は、それを一気に飲み干した。

「え、紗衣それアルコールだけど大丈夫!?」

　気がついた絵美が尋ねたけれど、時すでに遅し。

　胃のあたりが熱くなり、目の前が歪む。

「あ、あれ？　嘘」

　まったくお酒が飲めない紗衣は、そのまま意識を手放してしまった。
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