エリート上司の過保護な独占愛
第六章 素直に愛を伝えましょう
 仕事帰りのサラリーマンやOLが行きかう中、沙衣と絵美、それから裕貴は一軒の居酒屋に向かって歩いていた。絵美はからかうように沙衣と裕貴ふたりの顔を見てニヤニヤと笑う。

 バーベキューのあった翌日。週明けまで待てなかった絵美から早速電話が入る。

 とりあえず、裕貴とのお付き合いが始まったと報告をした。根ほり葉ほり聞きたがったけれど、それは沙衣にとって大切な思い出だ。なんとかごまかしてその場を乗り切った。そんな絵美からダブルデートの誘いがあった。
 
 そしてその週の真ん中、それが実現しようとしていた。

「まさか、本当にこのふたりがつき合うなんて……なんか不思議な感じ」

「ちょっと、絵美さん」

「いいじゃない。私の沙衣とつき合うんだから、これくらいは許してよ」

「本城、お前いつから濱中のものになったんだ?」

 急に話をふられた沙衣は、あたふたしてしまう。

「あー! それって、沙衣はもう自分のものだって言いたいんですかぁ? 課長ったら、見かけによらず、独占欲が強いんですね」

「え、絵美さんっ!」

 まだアルコールを一滴も摂取していないのに、無礼講にもほどがある。沙衣の心配をよそに仕事を離れた今、絵美のことを親友の慎吾の婚約者として裕貴は捉えていた。多少の言葉の悪さも許容範囲内らしい。

「見かけによらずってどういうことだよ。俺はこう見えても、案外ガンガン攻めるほうだけど、なぁ? そうだろう?」
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