風の旋律
いつの間にか治まっていた胸騒ぎは、病院に一歩近づくにつれて大きくなっていった。



ロビーには、亨さんが立っていた。









その表情を見た瞬間、




僕の心臓が大きく脈打った。








「三上さん!」




亨さんに駆け寄っていく島村先生とは逆に、




僕はただ、立ちつくしたまま亨さんを見つめた。







哀しげに歪められた笑顔




命は助かったのに、どうしてそんなに苦しそうなのか






島村先生と一言二言話した亨さんは、僕の方へゆっくりと近づいてきた。
















僕は…………………










無力だ………………













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