風の旋律
親が子供を思う気持ちも…
子供が親を思う気持ちも…
僕には分からない。
でも………
施設の子供たちに何かあったら、どんなことをしても守りたいと思う。
子供たちに嫌われても、何らかの形で裏切られても、僕は彼らを思い続けると思う。
中丸さんが僕を見捨てても、僕は中丸さんを恨んだりはしない。
感謝と謝罪の気持ちを持ち続けると思う。
僕のこの気持ちは、親や子に対する気持ちとは違うとはわかってる。
ただ僕はわかったんだ。
僕は、きっと僕を捨てた両親を恨んでいない。
小さい頃から施設育ちで、愛を感じられず疎ましく感じた里親から逃げて……
どうして自分は捨てられたのか悩んだこともあった。
そのたびに僕を支えてくれたのは、施設の皆だった。
僕が腐りかけても笑顔で受け入れてくれた。
絶大な信頼をおいてくれた。
親がいたら、こんなに早く気付けなかったかもしれない。
一度築かれた大きな絆は、崩れないんだ。
傍にいすぎて気付けない絆ほど、いつの間にか強く大きくなっていて………
きっと、子を捨てるような親と暮らしていたより、僕は人間臭くなれたと思う。