風の旋律



それから、義父母は変わった。




高いお金を払って、専属のピアノ講師を雇った。





僕にもとっても甘くなった。





僕は、僕に甘い義父母しか知らないから、違和感はないけど、以前の義父母を知る人たちは、あんまり甘くなったんで驚いたそうだよ。





今思い返すと、まるで僕のお手伝いさんみたいだったな。




いつも気を遣って、僕がピアノを弾く環境を全力で整えて…




“祐介が有名になれば、捨て子の才能を発掘し、育て上げた自分たちの名声も上がる”




って話してたのを聞いたのは、確か僕が小学三年生の時だったかな。




義父母は、“捨て子を育てた優しい夫婦”になりたかったらしくて、


小学校に上がる頃には、僕に“本当の子じゃない”と告白した。




幼い僕にはよくわからなかったけどね。




ただ、年を重ねるごとに、僕はいろんなことに冷めて、否定的になっていった。







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