風の旋律
“他人のフリをしろ”と言われているのに
僕はたまに廊下で彼女に笑いかける。
もちろん、誰にも分からないように。
すると、“他人のフリって言ったでしょ”ってメールがくる。
電話でも刺を刺される。
“あんまり可愛いから、意地悪したくなるんだ”
なんて言ったら怒られるだろうから言わないけど。
“ねぇ祐介?”
“音羽?どうしたの?”
もう随分、自然に名前を呼べるようになっている。
自惚れかもしれないけど、僕たちの距離は縮まっている気がする。
僕たちは、見えない何かで繋がっているような気がする。
何かは分からないけど。