風の旋律
「え~…、皆さん、おはようございます。」
いつものように、遠慮がちに話し出す校長。
いつもは、校長が話し出しても静かにはならないが、皆も見知らぬ男性と音羽に気が付いたようで
体育館は徐々に静まり返っていった。
「え~、中には知ってる方もいるかと思いますが、本日舞台に上がっているこの方は、三上音羽さんのお父様、三上亨(トオル)さんです。」
三上……
亨~~~!!??
三上亨って………
あの…あの…
世界的に有名なピアニストの……?
“あの”ショパンコンクールで優勝した………?
うわ~~うわ~~…
生で見ちゃったよ~~
かなりテンション上がってるよ自分~~
てか、音羽のお父様だったの!?
知らなかった!!!
「音羽さんが転入してくる前、音羽さんの経歴について、少し説明させていただきましたね?
その時に配布したプリントにも、三上亨さんについては少し触れていましたが………云々」
書いてあったっけ?
詳しく見ていなかった自分が憎い!!
でも、三上亨さんが、なんでまた学校に?
音羽と暮らしてるの?
でも、オーストリアとか、チェコとか、ルクセンブルグの大学とか、色々回ってるはずじゃ…?
あ~~…
考えてると疑問がいっぱい………