風の旋律
近付く心
翌日放課後。
今、僕は音楽室にいる。
手に冷や汗をかいている。
今の僕は、初めての発表会にでる幼稚園児にも見えるだろう。
緊張が最高潮に達していて、ウロウロ落ち着かない。
「プッ。そんなに緊張する?」
音楽室の机に腰掛けた音羽が、口に手を当ててクスクス笑っている。
細く長い足を組んだその姿は、モデル顔負けの美しさだと思う。
音羽は美人だからね。
『緊張しすぎて死にそうだよ~。
ねぇ、ホントのホントにいーの?
音羽だって、学校では他人のフリって言ったのに、こんなことしてくれて…。』
すると、音羽は少し膨れた顔になった。
「なに?不満でもあるの?
私が良いって言ってるのに!嫌なら止めるわよ。」
音羽は顔を背けた。
『あぁ~!それはやめて!
ごめんなさい!不満なんてないから!』
音羽をなだめてると、音楽室の扉がノックされた。