風の旋律
「おぉ、そうか。
祐介君の家には、ピアノがあるのか?」
亨さんが思い出したように言った。
『う~ん……エレクトーンみたいなのが埃かぶってます。』
「あはは!何~?“みたいなの”って?」
音羽は、さっきからずっと、普段では想像できないキャラに変わっている。
これが素なのかな?
「まぁいい。その力は貴重だ。
できるだけピアノは弾いた方がいい。
今の技術を潰さないためにも。」
『………はい。』
最後に亨さんと握手させてもらい、サインまでいただいた。
夢のようだ………
二人は昇降口まで送ってくれた。
音羽は、“また電話する”ってボソッと言った。
さすがに周りに生徒の目があるとキャラが戻るようだ。
二人は手を振って送り出してくれた。
こんなツーショットに見送られるなんて……
僕…幸せ者だ………