風の旋律


夜。

子供達を寝かせて、風呂から出た僕は、部屋の携帯が光っているのをみつけた。



『もしもし?』


相手は表示の名前を見なくても分かる。



「あ、祐介?今日はどうだった?」



……音羽だ。


少し悪戯っぽい声だ。



『最高だったよ!
人生で1番幸せだった!』


「あはは!大袈裟~。」



亨さんのことを熱く語る僕を、音羽はからかって遊んでいるようだ。




でも本当に人生で1番幸せだったと思う。




久々にピアノを弾いたし、憧れの亨さんと話せた。



自分から捨てたピアノ。


強制されて嫌になったはずなのに…



今日、自分はピアノが大好きなんだって気がついた。



部屋の棚で、唯一埃を被ってないCD。



亨さんのCDだ。





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