風の旋律
「……………なんでもないっ。」
音羽は僕と目が合うとさっと目を逸らしてしまった。
『あ…。』
時計を見ると、もう5:00だった。
帰らなくちゃならない時間だ。
『音羽。僕、もう時間的にキツいから帰るよ?』
「……………。」
音羽は僕に背を向けたまま動かなかった。
『音羽?音羽さーん?……三上さーん?』
少しずつ様子をうかがいながら音羽に近付いてみた。
「~~~。祐介の……ばか。」
『え?』
なんでばかなの?
「じゃあねっ!!時間キツいんでしょ?また今度!」
僕に向き合った音羽は、目を合わせてくれなかった。
『…?じゃあまたね。』
僕は、そっぽを向いた音羽をそのままに、音楽室をでた。