風の旋律
翌日、珍しい事に、廊下で音羽を見つけた。



プチ演奏会を始めた今でも、僕は音羽の“他人のフリ”条約を守っている。



僕はそのまま通り過ぎようとした。




けど………




「祐介!無視は酷くない?」



『!!??』




擦れ違いざま、腕を掴まれた。



僕を見上げていたのは、




隣のクラスの女友達だった。





委員会で話す程度なのに、会うといつも挨拶したり絡んだりされる面倒臭い人だった。





「もー!おっすって言ってんの聞こえなかったの?
祐介、耳鼻科行った方が良いんじゃない?」




“祐介”なんて呼ばれたの初めてなんですけど…



しかも面白くないよ?その冗談。



なに笑ってんの?



いちいち肩叩くなよ。



あー面倒臭い。





『…』




音羽と目があった。





音羽は…………








表情一つ変えずに去って行った。








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