風の旋律
帰り、廊下の向こうの音羽の教室を見つめた。
一学年合計20クラスもあるこの学校。
教室棟を上から見ると、三日月型をしている。
無理矢理一つの階に一学年詰め込んだみたいだ。
音羽は3組で僕は12組。
………やけに遠くに感じた。
夜も電話はなかった。
僕は、あの時、音羽に何を期待してたんだろう?
僕を“他の女子と仲良くしないで”って怒ってくれること?
多少でも嫌な表情をしてくれること?
泣いて走っていってしまうこと?
………そうだ。
僕は彼氏でもないのに、音羽がヤキモチを焼いてくれる事を期待していたんだ。
それに気付いた僕は……
ある決意を固めた。