風の旋律



『……そうだね。僕もそう思うよ。

人は、自分では自分の長所を見つけられないから…他人を見下す事で、自分の自信にしようとする。』




「……。」



音羽は涙目になっていた。




『だから友達が必要なんだろう?』



「え?」



『心を許せる友人が必要なんだ。
隠さずなんでも話せる友人が。

君には、心からの言葉を言ってくれる人がいなかったんだよ。
でも、ここには君と競争する人はいないよ。

ルクセンブルグでは、上に行きたい人が集ってた。でもここの学校は進学校でもないし、部活が強いわけでもないから…


同じ目線の友達が絶対できる。


いや、進学校でも、部活の強い学校だったとしても、日本の学生で音羽を蹴散らそうとする人はいないよ。』





‘環境が人を変える’


どこかで聞いたような言葉だ。




信じられる人がいる事がどれだけ幸せか…




音羽には知ってもらいたいんだ。







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