風の旋律
また臭い事……



悟りでも拓くつもりか?僕は。




『僕は、音羽にいつも笑顔でいてほしいな。
廊下で見掛けると、いつも仏頂面だからさ。』





まるで彼氏の発言だな。



僕は音羽のなんなんだ!




「私さ…友達が欲しいとは、ほんとに思ってなかった。
でも、祐介が私を心配してくれてるって分かったし…。

昔の話してすっきりしたし…。

ここで変わらなかったらずっとダメなままだよね…。
ピアノも人生も。

はぁ~あ!なんか結局お父さんには負けちゃった!!」




『へ?亨さん?』



おっきく伸びをした音羽の表情は爽やかだった。



「実はね、私が日本に来たのは、落ち込んでた私を見兼ねたお父さんが無理矢理に帰るって聞かなくなったからなの。

私の母国だし、環境が変われば、私も友達できて、変わってくれるって思ったらしいよ。

その友達って、祐介の事よ!」



友達………



「私さっき、約束破って怒ったでしょ?

でも、本心じゃなかった。ほんとはホッとしてた。
待ってたんだと思う。祐介が私を助けてくれるの。」





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