風の旋律
音羽の震えた声を、島村先生が遮った。
「そんなことある訳ない?とでも言いたそうだね。」
「……………。」
無言の音羽。
僕の頭の中は、島村先生と音羽の関係を繋げるのに必死だ。
でも僕は、音羽の詳しい過去も、島村先生の過去も知らないのだ。
「…ショパンを弾かないのは、僕のせいなんだろ?」
おどけていた声が、急に緊張を帯びた。
「…まさか…。」
「じゃあどうして?」
「それは……」
そこから、音羽の声は聞こえなくなった。
急に足音が近付いて来た。