風の旋律




帰り、すっかり暗くなった空を見上げて息を吐いた。




いつから白くなるようになったのか、僕は気付かなかった。




季節の移り変わりに敏感な日本人も、忙しく動いていると、見落とすこともあるのか。





いつの間にか日は短くなり、空は澄み切って高くなっていた。





綺麗なオリオン座が見えそうだなぁなんて、考えていられる自分が少し怖くなった。







恐らく掛かってくるだろう音羽からの電話を逃さないよう手に持っていた携帯を強く握り締めた。






僕は、音羽に繋がる電波をどれだけ活用できるだろうか。







今日の電話は長くなりそうだ。









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