風の旋律
部屋に入って時計を見ると、もう6時をまわる頃だった。
そろそろかなぁと思ったとき、まだマナーモードを解除していない携帯のディスプレイが光った。
ー三上 音羽ー
もっと緊張すると思っていたが、案外いつも通り落ち着いていた。
制服のネクタイを緩めながら携帯を手に取った。
『もしもし?』
ベッドに腰掛けて、何から話そうか考えていた。
「もしもし?
ごめんね、今日は。
私から呼び出しといて行けなくて…。」
思った通り、いつもより暗い声。
『何かあったの?』
僕が聞いても、黙ったままになる音羽。
僕から切り出さないと話しそうにない。
まぁ、話したくないんだろうが。