風の旋律
『音楽の島村先生って…』
「ぇっ……」
やっぱり予想どおりのリアクション。
『音羽、話したことある?』
気にせず少しだけカマかけてみる。
「……ない…けど。どうして?」
明らかに動揺している音羽の声。
嘘が苦手なだけなのか、それとも…?
『いや、なんとなくだけど。
でも、音羽は有名なピアニストと紹介されて来たのに、音楽の先生と話したことないなんて不思議だなぁ。』
「…………たまたまじゃない?
都合が合わなかったとか。」
嘘だ。
きっと初日か2、3日後には話したはずだ。
それにこの前の朝も、SHRをサボったのを注意されたばかりだ。
ただ…
今日のことを話したくなくて…
嘘を吐いたんだ。