風の旋律
「でも、いきなりどうしたの?
その…島村先生の話なんて…」
動揺を隠した不思議がる声。
『……なんとなくね。
音羽、今日はどうして来れなかったの?』
「………。
“なんとなく”なんて、理由になってないよ?」
本当に島村先生の事は話したくないらしい。
僕に話をさせて、なんとなく有耶無耶にさせたいか、言い訳を考えたいんだろうな。
でも、今日は、音羽に合わせることはできない。
『どうしてきてくれなかったの?
答えられないような理由なの?』
「そんな……こと……。」
『音羽が呼んだんだ。
これなかった理由を言うのが筋じゃない?』
久しぶりに強気に出た僕にうろたえているみたいだ。
中丸さん、今日は朝から僕の窓を開けてくれていなかったらしい。
いつもは換気をしてくれているのに、今日は部屋の中が埃っぽい。
僕が窓を開ける間も、音羽は話しださなかった。