風の旋律
『………音羽?』
少し優しく問い掛けてみた。
「…………私……私は……」
震えた、怯えた声。
『うん?』
「私は…………
もう………ショパンは弾けない………。」
『………。』
泣き声が混ざった声で、絞りだすように言った音羽。
僕は、先生に頼まれたから……
音羽を救ってあげなくちゃいけない…。
でも……僕にできるだろうか?
音羽から、一度でも離れようと思った僕に…。
逆に傷つけてしまわないだろうか……?