風の旋律
『音羽……ゆっくりでいいよ。
ゆっくりでいいから……話してごらん?』
できるだけ優しく声をかけた。
音羽にはもう僕は必要ないなんて
卑屈になっていてはいけない。
僕にできるなら、僕がやる。
音羽が必要とするなら
手を差し伸べよう。
「ゆう……すけ……。
私…私ね…………?」
『うん………。』
僕はゆっくり、音羽を焦らせないように、相槌を入れながら話を聞いた。
島村先生の正体も分かった。
音羽が人間不信気味なのも納得できた。
――――それは10数年前の話だった。