風の旋律
数日後………
広瀬は音羽の音楽学校の個人練習室にいた。
音羽がいつも使っている個人練習室にはピアノが二台ある。
扉から近いほうのピアノに座って、音羽の授業が終わるのを待っていた。
音羽は、授業が終わると決まってここで練習していくらしい。
熱心な子。広瀬は少し音羽を羨ましく思った。
「俺は…。
はぁ…俺とは違う人種なのか。」
溜め息とともに吐き出した広瀬。
音羽と広瀬の人生を比べて、つい考え込みそうになるのを抑えるように、ピアノの蓋を開けた。
――――幻想即興曲
ショパン