風の旋律
島村先生は、音羽の先生になってから3年経つか経たないか、で両親が離婚し、
母方に引き取られ、苗字が島村になったらしい。
それからは、日本の音大に入学し、教員免許を取得し、今の高校に就職したらしい。
“悔しかったんだ。
音楽が大好きで、どんどん上達していく音符ちゃんが。
もう吹っ切れたはずなのに、音楽を職業にしてるあたり、未練たらたらだな。
あの子をみると、昔の事を思い出して、胸が痛いんだ。”
そう、寂しそうに語った島村先生。
今日、音羽が音楽室を飛び出していった後、島村先生は僕に少しだけ話をしてくれた。
きっと島村先生も苦しんでいるんだろう。
でも、音羽を傷つけたら許さない。
音羽を助けると、僕は決めたから。
音羽がまた、ピアノを弾けるようになるまで、僕が音羽を守るから。