風の旋律
――――――祐介10才の時






「祐介?なにしてるの?それなに?」




『“別れの曲”の楽譜。
譜読みしてくるの、宿題なんだ。』



「ヘ~…。
ちっこいオタマジャクシがイッパイ……。」



「上川君、もうこんな曲弾けるの?スゴいね!!」



『…ありがとう。』






居心地が悪い。


スゴいと言われるのが苦痛。


まるで、自分は皆と違う生き物みたいに扱われて…







家に帰れば、毎日香水の匂いのキツいピアノの先生が、下手な作り笑顔で待ってるんだ。









ピアノは楽しい。




でも、楽しくない。








僕は、こんな曲が弾きたいんじゃない。











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