風の旋律
『昔はこんなクサいセリフ言うキャラじゃなかったよ。
でも、音羽にはどうしても綺麗ごとじみたこといっちゃうんだよね。』
「なにそれ。
まるで私が綺麗ごと言われるような悪い子みたいじゃない。」
『そういうんじゃなくてさー…。
う~ん……。』
「あはは。
嫌じゃないから、そんなに真剣に考えないで!」
よかった…
また……
音羽と笑いあえてる。
それだけで、僕は充分なんだ。
――その夜
「ゆーすけ兄ちゃん!!
仮面ライダーのやつ弾いて!!」
もう寝る時間も近いのに、施設の子供達はかなり元気。
『帝悟……よく飽きないな…。』
ピアノを再開した日から、施設の埃を被ったエレクトーンを弾きはじめた。
耳コピして色んな曲を弾いていたら、子供達もピアノに興味を持ってくれたみたいで嬉しい。
ただ……
『もう寝る時間!
また明日!!はいっおやすみー!』
「えー!?けちー!」
グチグチ言う帝悟を部屋へ押し込み、中丸さんのお手伝いを始めた。