風の旋律



「子供達はみんな祐介くんのピアノが大好きなのね。」



キッチンに入った僕に優しく笑いかける中丸さん。



『夜更かしはよくないんですけどねぇ…

昼間は学校だから無理ですけど、いつか時間があったら、レッスンでもつけてあげたいですね。

夜更かしされちゃ嫌ですけど。』




「祐介くんはお母さんみたいね。」



ふふっと笑う中丸さん。




『……中丸さんも、僕のお母さんみたいですよ。』




中丸さんの、食器を洗う手が止まった。




『本当にそう思ってます。

本当に…ありがとうございます。』




しっかりと目を見て、


今まで言えなかった感謝を口にした。







親なんていらないと、



親代わりなんて所詮偽善者と思ってた僕を変えたのは


他でもない中丸さん。






そして、今まで言えなかった感謝を口にできたのは、




他でもない………











音羽のおかげだ。













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