風の旋律


1人の帰り道は、いつも色んなことを考えられる。


ゆっくり落ち着ける時間だ。



『?』



急に、ポケットの携帯が震えた。




『もしもし?』



相手はいつもの……



「祐介、ちわっす!」




いつの間にか、明るく元気な今時女子高生になっている音羽。



『珍しいね、こんな時間に。

何かあったの?』



「何かないと、この時間に電話しちゃいけないの?」



『いや、全然構わないけど。

珍しいなって、思っただけだよ。』



本当に、こんな時間に電話が来たのは初めてじゃないかな?




最近、この時間は友達と遊んでるって聞いたし。



そうじゃなかったら、ピアノを練習してるって。



…ショパンはまだだけど。



早く弾けるといいな。




「一緒に帰ってた友達が、彼氏と用事ができたとかで、先に帰っちゃって。

…なんとなく祐介に電話したくなったの。」



『………。』



それは……どういう……?



『音羽…?

それ、どういう……?』




「あのね、祐介。」






< 99 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop