風の旋律
1人の帰り道は、いつも色んなことを考えられる。
ゆっくり落ち着ける時間だ。
『?』
急に、ポケットの携帯が震えた。
『もしもし?』
相手はいつもの……
「祐介、ちわっす!」
いつの間にか、明るく元気な今時女子高生になっている音羽。
『珍しいね、こんな時間に。
何かあったの?』
「何かないと、この時間に電話しちゃいけないの?」
『いや、全然構わないけど。
珍しいなって、思っただけだよ。』
本当に、こんな時間に電話が来たのは初めてじゃないかな?
最近、この時間は友達と遊んでるって聞いたし。
そうじゃなかったら、ピアノを練習してるって。
…ショパンはまだだけど。
早く弾けるといいな。
「一緒に帰ってた友達が、彼氏と用事ができたとかで、先に帰っちゃって。
…なんとなく祐介に電話したくなったの。」
『………。』
それは……どういう……?
『音羽…?
それ、どういう……?』
「あのね、祐介。」