御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
始まりは彼の腕の中
蓮杖早穂子(れんじょうさほこ)は不眠症だった。
不眠症にはいくつかのタイプがあるという。
寝付くまでに時間がかかる。
眠りについても、夜中何度も目が覚める。
起きるべき時間よりずっと早く目が覚めて、そのあと眠れない。
眠りが浅く、熟睡した気がしない。
ちなみに早穂子はオールマイティーの全部のせだ。
もちろん病院に行って治療を試みたことは過去何度もあるが、高校生の頃から十年近くこうなので、もはやどうしようと思うこともない。
だから――
眠りから覚めて、目の前に「裸の山邑始(やまむらはじめ)」がいても、慌てることはなかった。
自分と始が横たわっていたのは、かなり大きなベッドだった。
足元のほうで間接照明が部屋をぼんやりと照らしているが、どこかはわからない。
真っ白なシーツは恐ろしく肌触りがよく――
自分はふかふかのバスローブを着ていた。
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