御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

「気になって仕方ないって、顔に書いてある」
「えっ……!?」

からかわれるような口調で声を掛けられて、ハッとした。

顔を上げると、自分をじっと見つめる白臣と目が合う。

そうだった。ここには彼もいたのだ。

「ご、ごめんなさい……私ったら、ひとりでぼうっと……」

自分の世界に閉じこもってしまったことに気が付いて、羞恥で顔に熱が集まる。

バッカスの会は始が主宰する会で、自分は彼の連れだ。
必要であればホステスとして動くことも必要だろう。
なのに完全にお客様気分で、恥ずかしいことこの上ない。

持っていたグラスをテーブルに置き両手で頬を押さえたが、手のひらの下の頬はどんどん熱くなるばかりだった。

(こういうところが洗練されてないのよね、私って……)

うなだれ深く反省していると、白臣はクスッと笑って首を振った。

「いやそんな謝らなくてもいいんですよ。バッカスの会は本当に、ただの友達が集まって飲んでグダグダするだけの会だから、誰もなにもしなくていいんです。もちろん始さんがパートナーとして連れてきたあなただってね」
「でも……」
「始さんだってなにも要求しなかったでしょう?」
「それは……まぁ。そうです」

早穂子はこくりとうなずく。
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