御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
(あまり気にしても仕方ないわよね……)
それからふと、彼と始との会話で気になっていたことを口に出していた。
「あの……槇さんは始さんにシロと呼ばれていましたが、どういう意味なんですか?」
首を傾げて尋ねる早穂子に、
「確かにちょっとコミカルですよね」
白臣はいたずらっぽく笑顔を作って、腰を上げて早穂子の隣りに移動してきた。
彼がソファーに座ると、ほんの少し腕が触れ合う距離になる。
甘い王子様系の始とは違う、体格のいい――和風美男子な白臣の接近に、特に意味はないとわかっているのに、早穂子は一瞬ドキッとして体が硬くなった。
彼ほどの男性を前にして、意識するなというほうが無理だろう。
(他意はないのはわかってるけど、ちょっと素敵すぎるのがいけないのよね……)
そんな早穂子の緊張などどこ吹く風で、白臣はことさら柔らかい声でささやいた。
「俺の名前、白い臣と書いてアキオミなんですよ。幼馴染の女の子がちっちゃい頃から、アキオミって言えなくて、シロちゃんって俺のことを呼んでて……。その話を聞いた始さんが、真似して俺をシロと呼ぶようになったんです」
彼の説明を聞いて、幼馴染の女の子が、彼をシロちゃんと呼ぶ場面を想像すると、なんだかほっこりする。かわいらしいことこの上ない。
「なるほど……そうなんですね」
早穂子もにっこりと笑顔になった。