御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
かみあわない歯車
(――余計なこと、だったんだよね)
楽しかったGWは終わり、早穂子はまた東京に戻り、いつも通り仕事に戻っている。
休みですっかり緩み切った気持ちを立て直さなければと思いつつ、まだあの日の始に心が囚われていた。
あの後。早穂子の発言を聞いても、始は困ったように笑うだけだった。
そう、彼は怒るでもなく、たしなめるでもなく、笑うだけだった。
そういうところは始らしいと思うが、花のようにきれいに笑う彼の顔には、『困ったな』とはっきり書いてあって、早穂子もそれ以上何も言えなくなってしまった。
なにがどういけなかったのかはわからないが、きっと深入りするなというサインを無視して近づいて来る早穂子を、どう扱っていいかわからなくなったのだろう。
その後、なんとなく気まずくなってしまって。
どうしたものかと困っていると、ドアがノックされて、
『始さん、ポーカーやりましょう!』
と、明らかに陽気に酔っぱらっている白臣やそのほかの男性がドカドカと乱入してきたのだ。
『いつも勝ち逃げしてるじゃないですか。今日こそは勝ちますよ。彼女とイチャイチャする暇はもうありませんから覚悟してください』
そしてあれよあれよという間に、始は担ぎ出され、部屋から消えてしまった。