御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い～どうしても、恋だと知りたくない。～

「私より年下なのに……夏川さんは大人ね」
「いやいや、他人事だから言えることもあるって。私も自分の恋愛はグッダグダだから」

ゆずが妙に真面目な顔で言い放つ。

「そうなんだ……」

グッダグダと言い切ってしまうゆずがかわいくて、早穂子は少しほほ笑んｓ。

「そうそう。今日は私の話も聞いてもらいたい。ぜひ」

彼女は元気でかわいくて、気遣いもできる素敵な女性だと思う。普通に男性が放っておかないだろうと思ったが、現実はそうではないらしい。

「もちろんだよ。夏川さんが話したいこと、全部聞かせて」

早穂子はぶんぶんと首を振りながら、胸のあたりを叩く。

「今日はとっておきの料理用意してるの。食べよ！　ワインも開けちゃうからね」
「やったー！」

少女のようにはしゃぐゆずに、早穂子も思わず笑顔になっていた。

多少のから元気は自分でもわかっているが、それでも苦しかった胸のつかえが、彼女のおかげで消えていくようだった。




「でもさ～、サホコの思いを受け取ってる副社長が何考えてるのか、ほんと気になるわぁ……」

ゆずがワインをちびちびと飲みながら、ぽつりとつぶやく。

気が付けば、『蓮杖さん』はいつの間にか『サホコ』呼びになり、早穂子もまた彼女を名前で呼ぶようになっていた。