御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
まさかの彼女扱いに早穂子はびっくりしてしまったが、すぐに鳥飼が、
「友達だよ」と訂正する。
「えー、ほんとに? 和弘くんが女の子連れてきたのって初めてじゃん。しかもこーんな美人さんだし~」
巻き毛の彼女は目を輝かせながら、今度は早穂子に目を向けた。
「実はいい感じとか……そういうことない?」
申し訳ないのだが、期待に満ちた目で見つめられても、違うものは違う。
「ええ……はい。友人です」
「あら……残念。でも和弘くんの友達なら、私の友達でもあるわね。よろしくね、マリィよ」
そしてマリィと名乗った彼女は、立ち尽くしたままの早穂子の肩をバシバシと叩いて、
「ふたりとも座って、座って!」
てきぱきと奥のテーブル席へと案内し、ブルーのボトルに入ったお水を、グラスに丁寧に注いでくれた。
「特製スペシャルランチ、ふたつ持ってくるからね。待っててね!」
そして跳ねるようにテーブルを離れていく。