御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

「年も十歳離れてるし……まぁ、いつでも元気いっぱいなんだ。俺と違って」

鳥飼はグラスの水をあおるように飲み干し、自分で新しく水をそそぐ。

「で、見ての通り騒々しい店だけど、味だけはマジでいいから」

彼の言う通り、やがて厨房の方からおいしそうなにおいが漂ってきた。

「もうお腹ぺこぺこだよ」

早穂子の言葉に、鳥飼は笑ってうなずいた。

「盛りもいいから。安心して」



実際、彼の言う通りスペシャルランチはとてもおいしかった。
イタリアンをベースにした、野菜とお肉がメインのボリュームのあるランチで、ワンプレートにサラダやお肉料理、自家製のキッシュがどっさりとのっている。食べきるのが本当に大変なくらいだった。

『ワンピースを着てきてよかった』と、本来のおしゃれとは違った意味で、思ったくらいである。

「ごちそうさま~おなかいっぱい!」

早穂子はふう、と息を吐きながらおなかを撫でさする。

「蓮杖さんがよく食べる人でよかったよ」
「確かに……食の細い子はサラダとキッシュでお腹いっぱいになってると思うわ」

食後のコーヒーまでおいしくいただいて、席を立つ。
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