御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

(ああ、はいはい……これはあれだ……夢だ。夢だってわかるということは、いわゆる明晰夢というやつだ。でもまぁ、いいか……体は多少、休めているんだろうし……)


早穂子はボーッと、そんなことを考えながら、向き合う形で眠っている始の顔を見つめる。


山邑始は、早穂子が勤める山邑リゾートの副社長である。

山邑リゾートは、国内外のリゾート開発とホテル運営を主にする企業で、その名の通り始は創業者の山邑一族の御曹司であり、なおかつ三十三歳で副社長という重役だ。

と言っても彼は創業者の身内だからその地位にいるわけではない。

むしろ始が本格的に経営に参加するようになってから、山邑リゾートは業績をグングンと伸ばしており、始の父は数年内に社長を息子に譲るのではないかと言われている。

とにかくかなり優秀な男で、現在、財界でも若きホープとして注目されている男だった。


そんな山邑始と、同じベッドに眠っている。

ありえない状況なので、これは夢だ。


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