御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「え?」
驚いて壁にかかっている時計を見あげたが、まだ朝の七時だ。
宅配便にしては早すぎる。
いったい誰だろうと不思議に思いながら、そろりそろりと足音を消して、ドアに近づいた。
そしてそーっと、ドアののぞき穴から向こうを見つめる。
するとそこに、始が立っていた。
「――っ!?」
ガタガタガタッ!
動揺のあまり、早穂子は玄関のなにもないところでつまづいていた。
壁に膝をしこたま打ち付けたがそれどころではない。
なぜここに始がいるのだ。
意味がわからず、両手で口元を押さえる。
『開けてくれるー?』
音を聞きつけたのか、ドアの向こうで、始が声をあげる。
「えっ、ちょっ……」
早穂子は慌てて鍵を開けた。
開けたらどうなるかとかそんなことはさっぱり頭から抜け落ちていた。
早穂子がドアノブを押すよりも早く、ドアが外に向かって開く。