御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「あ、住所は社内コンプライアンスに抵触するやり方で調べた。ごめん」
「ゲホッ……」
まるで早穂子の考えを読んだかのようだ。
あっけらかんに告白されて、早穂子はむせてしまった。
箸を置いて、テーブルを挟んだ目の前で美しくお味噌汁を飲む始を見つめる。
「あのっ……」
ところが始は早穂子の言葉を遮るように先に口を開いた。
「今日、なにか予定ある?」
「えっ、いえ、特にありませんが……」
「そっか。じゃあ食べ終わったら、出かける用意をして」
「へっ?」
(出かける用意?)
ぽかーんとしていると、始が「めっ」という顔になる。
「ほらー、せっかくの美味しい朝食が冷めちゃうじゃん。温かいうちにいただかないと」
「あっ、はい……」
(なぜか私が急かされるのだろう……?)
そう思うが、結局始のペースに巻き込まれてしまったようだ。
早穂子は慌てて箸を持ち、だしまき玉子を口に運んだ。