御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
それから四時間後――。
お昼前には、早穂子は始と一緒に、長崎にいた。
「晴れててよかったね」
始はさわやかに笑って、助手席のドアを開ける。
「どうぞ」
「あっ、ありがとうございます!」
飛行機に乗る前、オンラインですでにレンタカーの申し込みを済ませていたらしい。
始の電光石火の行動力にまったくついていけないまま、ぽわーんと夢見心地で助手席に乗り込み、シートベルトを締めた。
(まさか長崎に来ることになろうとは……!)
動き出した車の窓から、早穂子は呆然と外を眺め、それからハンドルを握る始の顔を見つめる。
少し開けた窓から入ってくる風に、始の髪がふわふわとなびく。
その横顔がとてもきれいで、早穂子はボーッと見とれてしまった。
「ん、俺に見惚れてるの?」
始が視線を感じたのか、クスッと笑う。
「み……」
見惚れてなんかいないと言いかけたが、実際見惚れていたわけで。