御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
ぎょっとして振り返ると、始が首をかしげる。
「どうしたの」
「どっ、どうしたもこうしたも、一緒にお風呂って!」
思わず大声が出てしまったが、許してほしい。
そのくらい早穂子にとっては一緒にお風呂は大事件だった。
「そんなの無理です!」
「なんで」
「なんでって……」
みるみるうちに自分でも、顔に熱が集まるのがわかる。
「普通に恥ずかしいですよね……?」
始の前で、明るいところで裸になるなんて、無理だ。
「はあー? 意味わかんない。あんなことしておいて、恥ずかしいとか」
始は目を丸くした後、そのまま早穂子のこめかみに口づける。
「まぁ、いいや。どうせお風呂は何回も入るし。最初はひとりでもいいよ。そこは譲ってあげる」
(譲られてしまった……)